62フォード・ギャラクシー500XLサンライナー・コンバーチブル ハイパフォーマンスユニットと豪華さが融合した魅力的な一台 1960年代の初め、ビッグスリーの主力モデルというべきフルサイズのラインナップの 中には、折からのモータースポーツブームに合わせてハイパワーエンジンを搭載した フラッグシップがラインナップされるようになっていた。 銀河という名のフラッグシップ 60年代のフォードにおけるフルサイズというと、まず「ギャラクシー」の名前が思 い浮かぶが、フォードのラインナップにこのネーミングが加わったのは59年モデルか らのことである。 当時のラインナップはというと、ベーシックグレードの「カスタム300」、ミド ルグレードの「フェアレーン」、上級グレードの「フェアレーン500」というも の。ここに加わった最上級グレードというのが「ギャラクシー」のキャラクターだった。 ギャラクシーは1年前の58年に登場し大きな注目を集めたシボレー・インパラに対 抗して導入されたモデルという経緯があったことから、外装のトリムや装備類につい てはフォードのフラッグシップモデルであるサンダーバードに準じるといった工夫が なされていたのが特徴である。 デビュー当初のボディバリエーションは4ドア・タウンセダン、2ドア・クラブセ ダン、4ドア・タウンビクトリア、2ドア・クラブビクトリア、2ドア・サンライ ナーコンバーチブル、2ドア・スカイライナーコンバーチブルの6種。この他にス テーションワゴンが6モデル用意されていた。 なおビクトリアというのはハードトップのことであり、2種類用意されていたコン バーチブルの中でスカイライナーの方は一見しただけではコンバーチブルには見えな いリトラクタブル・ハードトップだった。 新時代のフォルムへと ボディパネルを一新 フォード・ギャラクシーは60年にフルモデルチェンジを実施し、そのボディは小さ なテールフィンを残しながらもフラット感を強調したものとなった。さらに61年にも ボディパネルを一新し、ここで初めて60年代にふさわしいボディデザインを得たと いっていい。 今回紹介する62年型ギャラクシー500XLコンバーチブルは、基本的に61年モデ ルのデザインを踏襲しながらも車種体系とグレードに少しだけ手を加えていたというもの。 具体的にはもっとも大きな変更点だったのが、61年まではフルサイズのベーシック グレードに与えられていた名称だったフェアレーンが新たにニューモデルのインター ミディエイトの名前となったことから、フルサイズは全車ギャラクシーと呼ばれるよ うになったこと。ちなみにかつてベーシックモデルに与えられていた「カスタム30 0」の名称は59年モデルを最後に廃止されていた。 これによってベーシックグレードが「ギャラクシー」、中級グレードが「ギャラク シー500」、そして上級グレードが「ギャラクシー500XL」と呼ばれることとなった。 またボディバリエーションも変更されており、60年と61年モデルにラインナップさ れていたスターライナー2ドアハードトップは62年モデルには存在しなかった。 実はスターライナーは従来の2ドア・クラブビクトリア(ハードトップ)の他に用 意されていた特別のボディバリエーションであり、リアウインドウ周りを深く傾斜さ せたセミファストバック形状になっていたのが特徴だった。 このモデルは一般にはよりスポーティーな車型を好むユーザー向けに製造されたも のと説明されることがほとんどだったが、その実体はNASCARストックカーレー スにおける高速化に対応したモデルであり、より空力に優れたボディ形状ということ で導入されたものだった。 それが62年モデルで廃止されたのは、とりあえず行き渡るべきところには行き渡っ たことと、翌63年モデルとしてすでに新型のスポーツルーフが開発中だったことが理由である。 60年代に入ってからのフォードは、ある意味モータースポーツにおいてはイケイケ 状態であり、62年からギャラクシーの車名に追加された「500」の数字はデイトナ 500から採ったものだといわれている。 強力なエンジンを オプションに設定 さて62年型ギャラクシー500XLである。従来のモデルと同様に4ドア・タウン セダン、2ドア・クラブセダン(この2モデルについてはベースグレードのギャラク シーでの名称は単なるセダンだった)、4ドアタウンビクトリア、2ドア・クラブビ クトリア、2ドア・サンライナーコンバーチブル、さらには4ドア・ランチワゴン、 4ドア・カントリーセダン、4ドア・カントリースクワイアという3種のステーショ ンワゴンで構成されていたギャラクシーシリーズの中で、最上級モデルである500XL に設定されていたのは2ドアクラブビクトリアと2ドアサンライナーコンバーチブル の2種だけだった。また他のモデルが138hpの直列6気筒/223CIと170hpのV型8気筒/352CI をそれぞれ標準で選択することができたのに対して、500XLは全車V型8気筒/352CIが標準装備だった。 オプションエンジンは220hpを発揮していた352CIである「インターセプター」と同じく300hp を発揮していた390CIである「インターセプター390」。 さらには340hpの390CIである「サンダーバード390」、385hpの406CI である「サンダーバード406」、そして405hpの406CIである「サンダーバード・スペシャル406」というもの。 これらの中で2種のインターセプターは、本来はポリスカーのために用意されたユ ニットだったものの、この時点ではやや低めの圧縮比で扱いやすいトルクフルなオプ ションユニットとして設定されていた。対してギャラクシー500XLにとって本命 というべきスポーティーなオプションユニットだったのが3種のサンダーバード・ユ ニットであり、今回紹介している個体に装着されているのが390。このユニットの 上位にあった2種類の406は共にストックカーレースやドラッグレースでの使用も 想定していた極めてラジカルな存在であり、どちらも圧縮比は11.4:1に達してい た。385hpはシングル4バレルキャブ、405hpはトリプル2バレルキャブという 当時のレースエンジンの定番というべきスペックとなっていた。 なお406は61年に登場したシボレーの409に対抗して62年モデルから導入され たバリバリのブランニューであり、同時に投入されたダッジ&プリマスの413と共 に各種モータースポーツで活躍していくこととなる。そして名機の誉れ高い427サ イドオイラーへと発展するのである。 ギャラクシー500XLは内外装のトリムも他のギャラクシーとは一線を画してい た。特に内装は専用のセパレートシートやトリム類。さらにはこの時代はまだ珍し かったセンターコンソール付きのフロアシフト・オートマチックなども採用されていた。 ライバルのインパラSSもセパレートシートとフロアシフターが標準装備だったも のの標準エンジンが直列6気筒だったこと。同じくダッジ・ダートやプリマス・ベル ベディアはマニュアルミッションこそフロアシフトだったもののオートマチックは ダッシュボード上でのプッシュボタン操作だったことを考えると、やはりフォードが 一番スポーティーさには敏感だったといっていいだろう。 生産台数が少ない スペシャルモデル 62年型フォード・ギャラクシー500XLサンライナー・コンバーチブルは合計で 1万3183台が生産された。この数字は合計で72万台余り生産されたギャラクシー 全車の中では極めて少ない。最上級のスペシャルモデルということを考えればそれも また当然ではあるが、ライバルのシボレーが最上級のインパラだけで70万台以上、内 SSが10万台近く。さらにコンバーチブルが7万台以上という膨大な数を記録したこ とを考えるとマイナーモデルとならざるを得なかったこともうなずける。この時代の シボレーの販売力は驚異的なものがあったのである。 フォード・ギャラクシーは翌63年にはボディ形状を一新するモデルチェンジを実施 し、シボレーと真っ向から渡り合っていくこととなった。しかし結局販売成績の面で はシボレーを打ち負かすことは適わなかった。 フロント フロント周りのデザインはラジエターグリルのメッシュ模様が少々異なっていただけ で基本的に1961年モデルに準じていた。一方、リア周りは大きな丸形2灯テールライ トという基本デザインは同じだったもののバンパー周りやリアフェンダーのプレス形 状などが異なっていたのが特徴である。 リア ホイールベースは119インチ。ソフトトップを上げた状態でのシルエットはクラブビ クトリアよりリアウインドウ部の傾斜角がわずかに大きく前年までのサンライナー ハードトップに近いイメージがあった。最上級フルサイズのワリにはモール類が少な いシンプルなルックスといっていい。 シート この当時は「バケットシート」と呼ばれていたセパレートシートの設定は上級グレー ドとはいえまだ珍しかった。比較的質素なデザインではあるが、質感そのものは決し て低くはない。 インパネ ホーンリングが付いた大きなステアリングときらびやかなダッシュパネルのコンビ ネーションがいい雰囲気。ステアリングポストの上にオプションでタコメータを装備 することもできた。 エンジン 340hpを発生していた390CIユニット。この排気量はフォードのV8の中では極めて長命 であり、後にはベーシックモデルへとスイッチ。クリーブランド400CIに変わるまで というもの、実に1971年モデルまでフルサイズ用ユニットとして採用され続けた。
アメリカ車のことならマリンコーポレーション 〒277-0931 千葉県柏市藤ヶ谷845-1 Tel:04-7190-0260 Fax:04-7190-0261